まあだだよ、まだ



今YouTubeでは角川が黒澤明監督最後の作品『まあだだよ』を無料公開している。

内田百閒のような教師生活を送れる人など滅多にいるものではない。なぜそんなにも教え子たちから愛されるのかは、教職を辞して後の彼らとの語らい、ふるまいから分かるというようなことだが、実際の内田はドイツ語教師としては二流以下だったようだ。漱石門下の帝大卒業生だけれども、法政大学ではドイツ語教師として不真面目な面が指弾され、いわゆる「法政騒動」の発端になったという。

その内田の不真面目を批判したのが語学の天才関口存男(つぎお)教授で、「存男」の音読みをドイツ語「sondern」にかけた通称を持っていた。「sondern」とは、「〜ではなく、むしろ」という接続詞だ。「ドイツ語教師は内田のような遊興に耽るようなダメ学者ではなくむしろxx君がふさわしい」などと、前者を否定し後者を推挙するパターンが多かった人なのだろう。(笑)

そのダメ教師でもあるところが教え子たちに愛されたということか。ずっと同じ教科書しか使わず、しかも自分でも知らない単語がずっとあるままにしていたともいうのだ。

内田は教師を辞め、文筆で生活を立てた。同僚のできる教授たちから見れば失格教師だったが、さすがは漱石門下、というところだ。

映画としては、やはり松村達雄さんの演技が出色だったというのが一番。松村さんは本当に法政大学出身者だったんだと今になって知った。全体としての感想を書くのはここではやめておく。

角川と法政は近所同士。私も千代田区富士見町には縁があった。私が本当に一時だけ住んだところは今や飯田橋駅前の再開発で跡形もない。法政から上智大学へ向かってお濠端を市谷駅を右に見て歩いて行くと五番町で、ここで内田は「三畳御殿」を持った。さらに言うと、G Stringで再デビューする前、まず私に援助をしてくださったA氏が社長をつとめたFP社は六番町に在った。

これらは皆私が旧ブログでいろいろとまつわることを書いた「漱石テリトリー」の中の場所である。

懐かしい。

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