彼は今までも今もこれからも偏在する


巨星墜つ、と言うけれど、墜ちてなどいない。

大天才で並外れた努力家の偉業は真の意味で永遠だ。巨星は確かに往時の光を放たなくはなったけれど、そのエネルギーはすでに周囲に放散され、新しい星が生まれいずる基となり、また超高密度になった巨星の核心部分は永遠に周囲のものを引き込む。

*

肉親以外の死で、John Lennonの訃報以来だ、こんなに涙が出るのは。

出演された全作品を観たというような熱心な仲代ファンとは言えない私だけれど、同じ世田谷の砧地域に住む者として、仲代さんがただ私のそばに住まわれているという事実だけで、私の心が安定していた。大袈裟ではない。同じ砧地域住民でもある黒澤監督、三船敏郎さんと<渡り合った>「レジェンド」が現に同じ空気を吸い、同じ空の下で<生きていらっしゃる>ことにどれほど喜び、慰み、そして勇気をいただいてきたことか。

(仲代さんは黒澤作品ばかりでなく岡本喜八さん、小林正樹さんなど多くの監督の作品に出ておられることは付記する。)

そして仲代さんは他界された。<私に拠れば>彼はall-pervadingになったのだ。互いの憩いの場、砧公園や岡本静嘉堂の木立の中を歩けばより彼の永遠となった魂を感じるだろう。

父は今遍くありて山眠る

ほぼちょうど14年前、我が父が逝去したときの句だ。

愛する人、尊敬できる人は、みなそうなのだ。

偏在となるのだ。

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