我人事ニ関セズ

久しぶりに未明に歩きに出た。多摩川べりとかはどうか知らないが、近所の草地や木々の陰で鳴く虫はもういなくなった。

靴音のひときは響く冬隣


もう十数年前の一句。当時は登戸から狛江市のcondoへと徒歩で帰っていた。とうとう多摩川の辺りの道でも秋の虫の声が聞こえなくなった夜だった。




今夏、花巻の「イギリス海岸」、増水した北上川


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Dodgersのワールドシリーズの相手はトロント・ブルージェイズとなった(マリナーズ残念)。


https://www.youtube.com/watch?v=sWR4a4GnClw&list=LL&index=6&t=21s


大谷さんの偉業があって、「史上最高の野球選手」であることを認めないディレク・ジーターの発言を巡って喧しいことになっているらしく、そのヤンキースの元キャプテンは大谷さんに嫉妬しているのだとする多くの大谷擁護の「レジェンド」たちのうち、的確な批評を上のビデオで聴いてほとほと感心した次第。「レジェンド」や監督などになる人の高い知性に感服する。


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政治のこと、知らない。我関せずだ。

養老孟司さんが肺がんを患っている中、去る6月1日に名古屋の真宗大谷派別院で講演されている。


https://www.youtube.com/watch?v=Bnbrmb7B4yw&list=LL


抗がん剤がよく効いていて、病巣がてきめんに小さくなったそうで、寛解状態なのかはわからないが、<元気に>とは言えないものの、公の場に出ておられる。


上の講演の中、養老さんが最も好きな日本古典『方丈記』のことをまた語られている。鴨長明は「源平合戦=治承・寿永の乱」当時に生きていて、また大火、大風、大飢饉、大地震を相次いで経験している。


養老さんが指摘するのだが、おもしろいのは、鴨長明は天変地異や飢饉のことは書くが、戦については直接触れないのだ、と。人事は福原遷都(平清盛のしたこと)だけ触れていてあとはみな自然の災害災禍のことだったと。人の事(=政争)など関心がなかったのだ。


私は共感する。

最大の人事=国政について無関心でいることは罪だろう。私は無関心ではない。投票は必ずしているし。しかし、今般政治を司る者たちに関心を寄せること、ましてや共感すること、支持することはほとんどない。はっきり言って、彼ら彼女らの多くは腐りきっている。大谷さんや藤井聡太さんのように天職に命を懸けていない。素人だらけだ・・・そう映る。


だから私も鴨川ではなく、多摩川や野川の流れを見つめ、諸行無常、万物流転(パンタレイ)を思い、見定め、その動きの一瞬を、刹那を捉えたいのだ。そういうことに時間を使いたいのだ。


常に変転する、流転するこの世の一断片とも言うべきことの一瞬、刹那を捉えて大自然の理を捉えたと言えるかと問われたら、もちろん言えないと言う。冒頭の方の私の俳句など、拙いだけだ。それでも、尊敬の「そ」の字もできぬpower mongers、power junkiesの言動に煩わされて余生を生きたくはないのだ。できる限り、ただ自然の中に身を置きたい。

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