みちのくの田舎野球少年

私と大谷翔平選手の共通点なんて、同じ東北出身ということしかない。しかも會津から大谷さんの出身県岩手に至るにはふつう宮城県を、日本海側ルートなら山形県を通過しなければならず、つまり隣県ではない。大体、「同じ東北出身」だからどうしたと言われておしまい。そんなの他に何百万人もいるよ、と。

「DH(指名打者)解除」といういわゆる「大谷ルール」の一環を適用されて、彼はDodgersの1番・投手で昨日先発した。そして「最速」102マイルperアワーの速球を投げ、2回無失点、打者としてヒットはなかったが、前回の登板時ではホームランを打っている。なんなんだろう、この人は。超人かよ。

そう超人だ。「superman」だし「ultra man」だし「Übermensch」だ。

この30歳の東北人が、世界最高レベルのメイジャー・リーグの場でbaseballというスポーツを根底から再定義しているのだ。

彼がふっくらしたリンゴのような色の頬で、チビすけプレイヤーとして土埃が立つ真夏のグラウンドで夢を追っていた十数年前、練習を終え、頭から水をかぶったりして仲間らと談笑しているとき、そして家路につく時、岩手の蝉たちが鳴いていたはずだ。ミンミンゼミには盛夏を感じ、流れる汗に自分の努力の正しさを感じたはずだ。夕暮れ、帰る頃にはヒグラシ。お母様がおしいものを作って待っていてくださるうれしさ、ありがたさを感じていたはずだ。

岩手と會津では少し違うだろうけれど、同じ「みちのく田舎少年」として、中1の時だけ野球部にいた者として、とても親近感が湧く。いろいろと想像できる。

それだけでなんだか誇らしい。そんな誇り、感じたってもちろん私だけの心の中のことだが。

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