思い出がいつも近くて


 

夜明け前、先ほど撮った野川に架かる谷戸橋からの風景。東京は今ことのほか冷えている。Tシャツ姿でなんか自転車に乗ったら確実に風邪を引くだろうほどだ。

黒潮の蛇行が終息したと気象庁が発表した。このことは、東海と関東では、高温多湿がいくらか軽減される傾向を意味するらしい。だとしたらありがたい。

*

またまたKのVlogからのことだけれど、功くんとの音楽上の打ち合わせでなんと川崎大師駅まで遠出したそうで、もちろん彼の音楽への意欲の発露を多としたいが、私はむしろ彼がその駅頭に立って、「思い出だらけだ」と言ったのに関心を持った。

彼がこれまでの人生で一番<ノっていた>のは川崎市の武蔵小杉に暮らしていた30歳代の数年だったはずだ。デザイン会社を興し、業績は順調以上、家庭生活も充実していた(少し触れすぎかもしれないが、彼はVlogでその辺りを過去に話しているので勘弁願う)。おそらくその頃の思い出のいくつかが川崎大師で作られたのだろう。

かく言う私も思い出だらけのところはいくつかあるのだけれど、なんとそれらが今でもいつでも行ける距離にあるのがKとは異なる。

野川、多摩川・・・思い出だらけだ。しかしいつもそこへ行けるし、行っているから、いつまで経ってもその思い出がほとんど遠くならない。それはいいことなのか、そうではないのか、よく分からない。悪い思い出は遠ざかってほしいものだが、野川や多摩川にまつわるものは概していい思い出であって、それらが記憶として近いままであるのは単純に言えば良いことに違いない。

しかし、いつまで経っても懐古趣味が薄まらないという反面もあって、なんだか私は三十代や四十代の思い出をずっと引き摺ったままの人生を20年以上続けていると言っても過言ではないようだ。それは、どうだろう、良いことなのかどうか。まあ、その自問にあっという間に自答すれば、良いことなのだと私が思えれば良いことなのだ、と言うしかない。

Kが功くんとアレンジメントを考える--- 私も功くんと同じ作業を何度もしたものだ。特に忘れられないのは、「Can't Let You Slip Away」という1986年に私に降りてきた歌を、彼がすばらしいオケにして私に聴かせてくれた秋の日のことだ。その歌の種は多摩川で子猫のチロを埋葬し、オリオン座など冬の星座が瞬く夜に宿った。

そこも先ほど自転車で通ったのだよ。

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