A Japanese Player Who Redefines Baseball

午前4時過ぎ、極々小雨という空の下自転車で家を出ると、いやはや、雨が強くなった。3キロも走ることなく帰ってくる羽目に。そして今は太陽が時々顔を覗かせている。今日は暑くなるのかな。

*

YouTubeには本当に「日本上げ」のビデオが多数だ。「日本人」のユニークさが称揚されるのだ。主に農耕民族として四季豊かな島国に暮らしてきた一群の人々が独自文化を育んできてもなんら不思議はない。一時「ガラパゴス化」と揶揄されたような島国根性からの産物が比類なきものであって、実は他の国や地域の人々から珍重されるものだったなどということも大いにあるようだ。そしてそれらを産み出す人間たちに興味惹かれる他国人も多い。

今のところ対象はアメリカ人が主だけれど、大谷翔平の存在は、幾つもの日本ガイドブックや文化、歴史の本以上のインパクトで「日本人」の或る典型についての情報を彼ら彼女に提供する。勤勉さ、謙虚さ、礼儀正しさ、チームの勝利第一主義、チームメイトへの心配り、チームを超えて野球を愛するすべてのプレイヤーとファンを大切にする気持ち・・・多くのアメリカ人たちが畏敬の念を抱き、また「日本人」たちが彼を鑑として己の態度を改める。

「彼は野球というものを再定義している」というようなことを言ったのは、大リーグのレジェンドのひとり(誰だったか忘れた)。健在のレジェンドたちは今圧倒的に中米出身者が多いようだ。イギリス生まれのクリケットが発展的にベースボールとなって、1876年ナショナル・リーグ発足、それから71年経っての1947年、ようやくJackie Robinsonが最初の黒人選手となった。アメリカ自体が「人種」民族の坩堝だったわけで、いよいよ黒人やヒスパニック系の選手も加われるようになって、さらに1964年、村上雅則が「日本人」として初めてMLBで投げたのだった。

その後野茂英雄、松井秀喜、イチローなどが輝かしい成績を残す選手となっていったけれど、大谷翔平は本当に彼らとは、そしてさらにはこれまでのMLB選手らとも、まったく違う次元の活躍をしており、野球というスポーツをまさに再定義している。

Baseballがこの国では「野球」と名づけられ(名付け親は正岡子規ではないそうだ)、ガラパゴス化が始まり、とうとう大谷翔平を生んだのだ。彼には、岩手県奥州市生まれ育ちの田舎のいち野球少年にすぎなかった時期があったのだ。父母の、そしてコーチたちの躾よろしく、礼儀正しく、明朗で、そしてとんでもない夢を持つ野球少年に育っていった。「四番打者でエース投手(しかも盗塁王にもなれる)」という野球少年なら誰もが最初は憧れる存在に、草野球、リトルリーグ、中学・高校・大学野球部、日本のプロ野球でもそうなれたろうけれど、なんと最頂点のアメリカ大リーグにおいてなったのだ!

今「日本上げ」のコンテンツで最強の題材は大谷翔平だ。野球は世界規模の人気を持つスポーツではないと言う勿れ。ひとつのスポーツを再定義してしまうような選手を擁する競技は他にないのだから。

コメント

このブログの人気の投稿

やるせない

SSブログにしてやられて、19年間のtextを失いました。(移行予告を軽視した私が悪い)

バンド内闘争